税法新着
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法人課税
1.欠損金の繰越控除制度の見直し 
(1)控除限度額の段階的縮小
  大企業(青色申告法人)を対象とする欠損金の繰越制限について、その控除限度額は、
  平成28年度は所得の60%、平成29年度は所得の55%と段階的に縮小されています。

  ■適用関係
   平成30年4月1日以後に開始する繰越控除をする事業年度は所得の50%に適用されます。

(2)欠損金の繰越期間の延長
  中小企業を含むすべての青色申告法人を対象とした欠損金の繰越期間、青色申告書を提出
  しなかった事業年度の災害による損失金の繰越期間が9年から10年に延長されています。
  これに伴い、帳簿書類の保存期間がそれぞれ9年から10年に延長されているほか、法人税
  の欠損金額に係る更正の期間期限及び更正の請求の期間もそれぞれ9年から10年に延長さ
  れています。

  ■適用関係
   平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生じた欠損金額について適用されます。

2.所得拡大促進税制の見直し
  中小企業の持続的な賃上げを促す観点から、所得拡大促進税制が見直されます。
  その年(平成30〜令和2年度)の平均給与等支給額が前年度の平均給与等支給額より1.5%
  以上
増加した場合には、給与等支給増加額の15%の 税額控除(法人税額の20%が上限)が
  適用されます。
  さらに、高い賃上げや教育訓練費の増加等の要件を満たせば、10%の税額控除率(法人税
  額の20%が上限)が上乗せされます。

  ■適用関係
   平成30年4月1日から令和3年3月31日までに開始する事業年度について適用されます。

3.中小企業投資促進税制の延長
  中小企業等が、機械装置等の対象設備を取得等をした場合に適用できる、中小企業投資
  促進税制の適用期限が2年間延長されました。

中小企業投資促進税制の概要
区分 資本金3000万円以下の法人、
個人事業主、農業協同組合等
資本金3000万円超、
1億円以下の法人
特別償却 取得価額×30% 取得価額×30%
税額控除 取得価額×7% 対象外

対象となる設備の種類
機械装置 1台160万円以上
測定工具
及び検査工具
1台120万円以上
又はその事業年度で1台30万円以上かつ複数台合計120万円以上
一定の
ソフトウェア
一のソフトウェア70万円以上
又はその事業年度の複数合計70万円以上
貨物自動車 車両総重量3.5トン以上
内航船舶 取得価額の75%が対象

  ■適用関係
   平成31年4月1日から令和3年3月31日までに取得等をして事業の用に供した場合に適
   用されます。

4.中小企業経営強化税制の延長
  中小企業等経営強化法による認定を受けた中小企業者等が、生産性向上設備や収益力向上
  設備
を取得等して指定事業の用に供した場合に、即時償却又は税額控除(10%、資本金
  3,000万円超1億円以下の法人は7%)を受けられます。
  対象範囲を明確化したうえで、適用期限が2年間延長されました。

  ■適用関係
   平成31年4月1日から令和3年3月31日までの間に取得し、指定事業の用に供した設備
   投資について適用されます。

個人課税
1.空き家に係る譲渡所得の特別控除の拡充・延長 
  空き家に係る譲渡所得の3,000万円の特別控除について、老人ホーム等に入所をしたこと
  により被相続人の居住の用に供されなくなった家屋及び家屋の敷地の用に供されていた
  土地等は、次に掲げる要件を満たす場合に限り、相続開始の直前においてその被相続人
  の居住の用に居住の用に供されていたものとして本特例が適用され、適用期限が4年延長
  されます。
  ・被相続人が介護保険法に規定する要介護認定等を受け、かつ相続開始の直前まで老人
   ホーム等に入所していたこと。
  ・被相続人が老人ホーム等に入所したときから相続開始の直前まで、その家屋について
   被相続人による一定の使用がなされ、かつ事業用、貸付用または被相続人以外の者の
   居住の用に供されていたことがないこと。
  
  ■適用関係
   平成31年4月1日以後に行う被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等の
   譲渡に適用されます。

資産課税
1.個人版事業承継税制の創設
  中小企業の経営者や個人事業主の年齢が高齢化してきていることに伴い、後継者への円滑
  な事業承継を促進するため、10年間の時限措置として個人事業者の事業用資産に係る相続
  税・贈与税の納税猶予制度(個人版の事業承継税制)が創設されました。
  平成31年4月1日から令和6年3月31日までの間に承継計画を提出することで、青色申告書
  の貸借対照表に計上されている一定の対象資産について、相続税・贈与税の納税猶予を受
  けることができます。

 ■適用関係
  平成31年1月1日から令和10年12月31日までに相続または贈与により取得する財産に係る
  相続税・贈与税に適用されます。

2.住宅取得等資金贈与の非課税特例
(1)非課税限度額の拡充
  平成27年1月1日から令和3年12月31日までに、20歳以上の子や孫(その年の合計所得金
  額2,000万円以下の人)が父母、祖父母から住宅取得等のために金銭の贈与を受けた場合、
  次の非課税限度額を、暦年課税の基礎控除額もしくは相続時精算課税の特別控除額に上乗
  せすることができます。
  なお、住宅用家屋の所得等に係る契約の締結時期によって限度額が異なります。
  平成26年以前に、この旧非課税制度の適用を受けている場合は受けることができません。

契約締結期間と非課税限度額
【消費税8%の場合】
住宅取得時の契約締結期間 良質な住宅用家屋 左記以外の住宅用家屋
平成28年1月1日〜令和2年3月31日 1,200万円 700万円
令和2年4月1日〜令和3年3月31日 1,000万円 500万円
令和3年1月1日〜令和3年12月31日 800万円 300万円
  ※良質な住宅用家屋:省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性を備えた住宅
【消費税10%の場合】
住宅取得時の契約締結期間 良質な住宅用家屋 左記以外の住宅用家屋
平成31年4月1日〜令和2年3月31日 3,000万円 2,500万円
令和2年4月1日〜令和3年3月31日 1,500万円 1,000万円
令和3年1月1日〜令和3年12月31日 1,200万円 700万円


(2)相続時精算課税の特例の期限延長
  住宅取得等資金の贈与を受ける場合に贈与者(両親・祖父母)の年齢要件を撤廃する相続時
  精算課税の特例の適用期間が令和3年12月31日まで延長されました。

3.結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税特例の期間延長等
  直系尊属から、結婚・子育て資金として20歳以上50歳未満 の子や孫が一括して贈与(金融
  機関に子や孫名義の口座を開設して拠出)を受けた場合、受贈者1人につき1,000万円まで
  (うち結婚に際する費用は300万円まで)非課税となる制度について、受贈者の所得要件を
  設けたうえで、適用期間が2年間延長されました。
事 由 残額の取扱い
受贈者が50歳に達した場合 50歳に達した日に残額の贈与があったものとして受贈者に贈与税が課税されます
受贈者が死亡した場合 残額について贈与税は課されません
上記の事由発生前に贈与者が死亡した場合 残額が贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算されます(当該残額に対応する相続税額については2割加算の対象外)

  ■適用関係
   当初は平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間とされていましたが、2年間延長
   され、令和3年3月31日までの間とされました。
   (注)平成31年4月1日以後のものについては、その前年の受贈者の合計所得金額が
      1000万円を超える場合には適用を受けることができません。

3.教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税特例の期間延長等
  30歳未満の方が直系尊属(祖父母など)から教育資金の一括贈与を受けた場合、1,500万円
  まで贈与税が非課税となる特例について、教育資金の範囲等の見直しや受贈者の所得制限を
  設けたうえで、適用期間が2年間延長されました。
  また、贈与者が死亡した場合、その死亡前3年以内で、平成31年4月1日以後に非課税拠出
  がある場合には、死亡日における管理残額を相続税の課税対象とすることとなりました。

  ■適用関係
   平成25年4月1日以降の教育費の支出から適用され、同特例の適用期限は令和3年3月31
   日まで延長されました。
   (注)平成31年4月1日以後のものについては、その前年の受贈者の合計所得金額が
      1000万円を超える場合には適用を受けることができません。

金融課税<NISA>
1.ロールオーバー
  NISAの5年間の非課税期間が終了した際、翌年の非課税投資枠へ移管(ロールオーバー)
  することで、更に5年間非課税で保有することができます。但し、ロールオーバーする保有
  資産の時価の分だけ非課税投資枠を使用します。
  ロールオーバー可能な金額に上限はなく、時価が120万円を超過していても、全額を非課税
  投資枠に移すことができます(その年の非課税投資枠は使い切ることになります)。

  ■適用関係
   非課税期間5年間のNISA口座について、期間終了時に選択することができます。
   (後述の積立NISAはロールオーバーできません。)

2.積立NISAと現行NISA
  積立NISAの年間投資上限額や非課税期間、口座開設可能期間等を現行NISAと比較すると
  下記のようになります。このほか、積立NISAの投資対象商品は金融庁が定める要件に適
  合したものに限られ、長期の積立や分割投資に適した商品になることが想定されています。

積立NISAと現行NISAの比較表
  積立NISA 現行NISA
年間投資
上限額
40万円 120万円
(平成26・27年は100万円)
非課税期間 20年間
(ロールオーバー不可)
5年間
(ロールオーバー可)
口座開設
可能期間
20年間
(平成30年〜令和19年)
10年間
(平成26年〜令和5年)
投資
対象商品
積立・分散投資に適した一定の公募等株式投資信託(商品性について金融庁が定める要件を満たしたものに限る) 上場株式・公募株式投資信託等
投資方法 契約に基づき、定期かつ
継続的な方法で投資
制限なし

  ■適用関係
   累計投資勘定の設定期間は平成30年1月1日から令和19年12月31日までの期間とされて
   います。当該勘定は原則、設定期間中の各年の1月1日に設けられることとしています。

課税強化<法定調書の充実、税務調査手続の一部見直し>
1.財産債務調書への衣替え
(1)名称変更と提出基準の見直し
  
「その年分の所得金額が2千万円超」の場合に提出する財産債務明細書から、新たに「そ
  の年の12月31日において有する財産の価額の合計額が
3億円以上」か「同日において有す
  る国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の対象資産の価額の合計額が
1億円以上」の提
  出基準を加える財産債務調書へと変更されています。

(2)記載内容の変更
  
財産債務明細書の時に記載した「財産の種類、数量及び価額」に加えて、財産の所在や有
  価証券の銘柄など、国外財産調書の記載事項と同様の記載が必要となります。同調書は新
  制度の「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例」に利用することを目的の一つにしてい
  るので、有価証券等は取得価額も併記することが求められます。


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